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無麻酔歯石取りの恐怖
今回は無麻酔の歯石取りについてのお話をさせていただきます!
皆さん普段のワンちゃんの口腔ケアはいかがされていますか?結構気になりつつも毎日のハミガキは億劫で歯磨きガムや、口腔ケアできる水をあげるだけや、歯磨きシートで拭くだけという方も少なくないんじゃないでしょうか?
そんなご家庭も少なくない昨今ですが、きちんとハミガキをしていないと何が起きるかというと・・・
そう。歯石がいっぱい付いてしまいます。そうすると歯周病になったり、単純に口臭がとても臭くなって気になる、なんてことになりますよね?
そうなってくると飼い主様もなかなか無視できず、何か対処しないとと思い、まず思いつくのが歯石取りですよね?ただ、歯石取りと聞いたら「麻酔」をしなければならない。そして麻酔は危険!!
というイメージが強いかと思います。もちろん麻酔は少なからず負担はありますし、完全に安全な物です!とは言えないかしれませんね。
お得な話には裏がある
そんな時、どこからともなく耳に入ってくる「無麻酔の歯石取りができます!」って宣伝です。
何も知らない飼い主様からしたら、怖い麻酔をせずにきれいに歯石を取ってくれるなんてそんな素晴らしい物があるなら、やらない理由がない!と思い、いざ無麻酔歯石取りに出かけますよね?
・・・ですが、落ち着いてそこで一旦冷静になり考えてください。
なぜ、歯石取りは元々麻酔が必要なものなんですか?麻酔をしなくても問題なくできるなら、最初から麻酔なんてしませんよね?
今日はなぜ無麻酔の歯石取りが危険なのか、その実態とは何かについての詳しいお話をさせていただきます。
無麻酔の危険性
まず具体的に無麻酔の歯石取りをした場合、どんな危険があるのかについて、いくつか挙げていきたいと思います。
- 歯の表面に凹凸ができてしまう
一つ目は、歯石取りをする時はスケーラーと呼ばれる歯科器具を使うのが一般的です。スケーラーでなくても基本的に歯石という堅いものを歯から削り取るにはそれなりに鋭利な器具が必要なのは、簡単に想像がつくかと思います。そして、その器具を無麻酔で使った時には色々と危険が考えられます。
歯石取りをした後の歯の表面はツルツルの綺麗な状態になりますよね?しかし無麻酔の場合はいくら大人しい子でも多少は動きます。その中で歯石取りをしているとやはり、細かな目に見えないレベルですが、歯の表面に凸凹ができます。
そうするとそれが原因で、次からの歯垢が付きやすくなり、またすぐに歯石が増えてしまう結果となります。
- デリケートな口内を傷つけてしまう
さらに、鋭利な器具を使う際に歯茎や唾液腺、血管等、デリケートなお口の中を傷つけてしまう可能性がとても高くなります。
- 無麻酔で歯周ポケットの除去はできない
次に歯石取りで一番大切なのは歯と歯茎の間のポケットがありますよね?
そこにも歯石はついているので、そこもしっかり取る必要があり、逆にいくら表面が取れてもそこが取れていないと歯周病の原因は取り除けていないのです。
- 歯の裏側や奥歯も難しい
無麻酔では犬が動く中で行うので、そこまでの歯石の除去はできません。さらに、奥歯や歯の裏側なんかも麻酔をかけた状態でないとできるような場所ではありません。ですので、表面上はきれいになったように見えて飼い主様は満足するかもしれませんが、実は表面上だけしかできていないのです。
- 肺炎の原因になる
次に、歯石というのはいわゆるばい菌の塊みたいなものです。無麻酔で行っていた場合、何かで犬がむせて、取り除いた歯石が気道に入れば、肺炎の原因にもなります。麻酔をしてからの歯石取りでは器官チューブや吸引器を使うので、そういったことにはなりません。
- 顎の骨を折ってしまう危険も!
そして、歯周病が進行しているわんちゃん等は歯の周りの骨(歯槽骨)がもろくなっている子もいるので、無麻酔で動くからと抑えたり引っ張るなどの力が加わると顎の骨が折れてしまう事もあります。
- 何よりも痛くて怖い!
最後に、何よりも無麻酔の歯石取りは痛いです。痛みを伴う処置を何十分も大人しく耐えろというのは、果たしてわんちゃんにとって負担がないといえるのでしょうか?大人しい子でも負担になり得て、嫌がる子に対しては相当なストレスになり、恐怖を与える行為となります。
麻酔への考え方
麻酔を打つのは危険だリスクがあるとは言いますが、年々医療技術の進歩で改善されて来て、麻酔を打つ前の検査等もしっかり行っている上での処置なので、自分は無麻酔で痛い思いや怖い思いをさせて、しかも中途半端にしか処理できないで再発しやすくなる可能性もあることを考えれば、麻酔有での歯石取りの方が、何倍もわんちゃんにとって優しい選択ではないかと考えます。
もちろん歯石が付く前にハミガキで落としてあげるのが一番ですが、どうしても歯石が付いた時はしっかりと獣医さんの下で相談し、麻酔をしての処置をするのをおススメいたします。
今回は無麻酔の歯石取りの危険性についてお話しさせていただきました。
また、別記事ではなぜそんな無麻酔歯石取りが大っぴらに宣伝されているのかについて、まとめたいと思います。